パンの磔、Untitled


STATEMENT

(Artist work shop)
共同する他者から実践を通して学び,その経験を自己に引き戻し,また実践を繰り返す。ワークショップ「昼の家,夜の家」において行われた,こうした行為の交換の連続は, 参加者同士の判断や思考,倫理の根底にあるものや伝統を露にし,またそれを鑑賞する,直接的な経験としての知の場所を作り上げていた。
今回の出品作品,「Untitled」と「パンの磔」は,行為の連続性によって形作られる名づけ得ぬ物として,もう一つは,日常に介在する慣習やささやかな儀式の意味変容として, 「真のアカデミー」の一つを構成する。
I learned from the other participants how to act; the experience restored myself, and helped me act again. The collective, interactions that occurred in the Workshop “ouse o ay, ouse o ight” were the exposed traditions based on my fellow participants’ judgments, thoughts and ethics. I watched them come together to create a place of wisdom I could experience directly. My works, Untitled and Bread Crucifixion took their name from the way they were created from continued actions, and from the interposing customs and the changed appearance of meaning in ceremony. Together they become “the live academy”.


ARTIST WORKSHOP @KCUA 成果発表展/パヴェウ・アルトハメル+アルトゥル・ジミェフスキ
Pawel Althamer + Artur Zmijewski
House of Day, House of Night(昼の家、夜の家)

2016.1.9 (Sat) - 2.7 (Sun)
KYOTO CITY UNIVERSITY OF ARTS ART GALLERY @KCUA
パヴェウ・アルトハメル、アルトゥル・ジミェフスキ、オル太、西山裕希子、丹羽良徳、増本泰斗、松田壯統、水無瀬翔
Artist: Pawel ALTHAMER, Artur ZMIJEWSKI, OLTA, NISHIYAMA Yukiko, NIWA Yoshinori, MASUMOTO Yasuto, MATSUDA Masanori, Sho Minase
http://gallery.kcua.ac.jp/exhibitions/20160109_id=7860#ja

OLTA
POLAND - JAPAN
2016.2.3-8
展覧会最終週には講師2人が再来日の予定であったが,パヴェウ・アルトハメルの都合により来日が中止となった。代わりに,オル太のメンバーのうち3 人がポーランドへ行き,アルトゥル・ジミェフスキへの接触を試みた。
ポーランド・ワルシャワ:チャンチ,長谷川義朗,井上徹
日本・京都:斉藤隆文,川村和秀,メグ忍者

DAY0 | 2016.2.3
京都行きとワルシャワ行きにそれぞれ3名ずつ別れ,出発する。成田空港で一枚の布に,全員の署名をして2つに切る儀式を行う。それぞれの地でワークショップを実践すること,またその作品を意味的対話として交換する,「House of day, House of Night」の実現を目指した。

DAY1 | 2016.2.4
 1枚目,日本からポーランドにオル太の3 人が来ている現状を確認。  2枚目,アルトゥルからの「What do you want to do ?」という質問に対して,「7日に京都で行われるパレードと滝行」「ワルシャワで見た壁」「BREAK,WALL」というキーワードが出る。
 3 枚目,日本とポーランドの8 時間の時差から,昼の家と夜の家がテーマと提案し,「THE PLAN」というタイトルがつけられる。
 4枚目,「THE PLAN TRANSPARENT」と題されたこのドローイングでは,オル太の2 人の手を紙の上で重ね,その上に直接ペインティングをし,アルトゥルが「RITUAL」と判子を押す。
 5枚目,プランの明確化をさらに進め,オル太から「BODY,CITY,PAINT」というキーワードが出され,アルトゥルからは「NATURE,RITUAL」という語が加えられる。 このあと,郊外に移動し,日が落ちてから川側の森林で火を焚いた。
 焚火は1時間半ほどで終わり,1日目のワークショップは終了。

DAY2 | 2016.2.5
1日目と同じように,同じカフェにてドローイングによる対話から始める。ドローイングは全部で4枚仕上がる。
 1 枚目,「DYSKUSJA」( ディスカッション) とアルトゥルが書き始め,昨日の森での焚火を思い返しながら,「RITUAL」「FIRE」という単語が並ぶ。
 2枚目,「RITUAL?」と書かれ,今日の「RITUAL」をどのようなものにするかが,提案された。アルトゥルはあくまでもオル太の「3 人」がセッションに参加していることをこれ以降も強調する。
 3枚目,アルトゥルからの「WHAT DO YOU THINK?」という質問に対し,3人の「FIGURES」が「ROPE」で繋がれたイメージが描かれる。
 4枚目,最後の一枚「CONTINUITY」には,アルトゥルが3 つの長方形を描き,さらにその中にそれぞれ一体ずつ人型を描き納める。その後オル太の3 人がそれぞれ一体ずつ人型に手を加え,最後にアルトゥルが黒と朱色の炎を描き人型を覆った。
 その後,野外の公園に移動し,次のワークショップが行われた。まず,長さ120cm×幅40cmほどの薄いベニヤが3 枚用意され,それぞれにオル太の3 人を想定した人型が書き加えられる。火を焚き始め,その火を囲むように板が配置される。板には,4枚目のドローイングが貼られている。火は勢いを増して,板を真っ黒に焦がし,オル太がそこに影としての人型を描く。最終的には,3 枚の板が灰になるまで燃やされて,このセッションは終了した。
 焚火の後,アルトゥルとディナーをしながら,今日のセッションを振り返る&総括する「DAILY REPORT」と「GOLDEN CHAIN?」,「WHERE IS FREEDOM?」の3枚のドローイングを描いて今日の全てのワークショップを終了した。

DAY3 | 2016.2.6
バウカの展示をみに,ウッチの現代美術館までアルトゥルの車で行く。身体や記憶などオル太とバウカの共通のテーマを感じるが, minimalism的手法についての決定的な違いについて,レストランにてドローイングを用いてアルトゥルと対話する。ウッチから戻り,23 時前後に「House of day, House of night」の実現のため,ワルシャワのwisla川で即興的に作った灯篭流しをする。同時刻に京都では,滝行が行われた。

DAY4 | 2016.2.7
まず,市内のショッピングセンターで何をするかドローイングで話しあい,魂を形づくるという案になる。(Lets form soul.)そして,ワルシャワにある墓地に行く。
整備されたキリスト教の背後にある立ち入り禁止区域,ユダヤ人の方のお墓が大量に放棄されている場所に行き,1時間弱歩いて,人目につかない場所を探す。2箇所で,キャンドルを灯して,即興的な儀式(魂を形づくる行為)をする。

夜は,アルトゥルとパヴェウがいつも会合するイタリアンレストランに行き,そこで最後のドローイングを制作する。その日に行った形にならない行為が,ドローイングを用いて形象化される。純粋な自己との対話や問いかけをつくる方法に対しての創造的な実践が行われたワークショップになった。帰国日,アルトゥルが再度車で空港まで送ってくれ,そこでオル太から最後のドローイング4枚を手渡す。それをDiplomaと称して,ワークショップは終了した。
(レポート:Jang-Chi)
  ポーランドドローイング